楽しいテニス合宿のはずが

[第二話] 方向音痴の本領発揮

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さあ、あと12キロで到着だ、時間にすれば10数分程度。
残業でみんなより遅れたが、21時過ぎには到着し、それから楽しい宴会だぁ~♪
と思ってた。その時は。

で、いよいよ山道へ入って行く。
ん?結構狭い道に入ったな。
国民宿舎に行くのに、こんな狭い道を通らせるの?
狭いのなんので、「まいったなぁ、こりゃ」と思いながら進んで行く。
ん?
今度は下って行く?
宿舎は山の中腹にあるのだから、下っちゃおかしいよな。
と思いながらさらに進むが、一向に山を登っている気配がない。
そして、到着予定の15分はとっくに過ぎ、30分ほどが経過する。
が、一向に宿の灯りは見えてこない。

と言うか、周囲は思いっきり真っ暗な闇の中だ。
ここまでくると、今さら地図を見たところで、今の自分の位置すらわからないので役に立たない。
なので、ここは前に進むしかない。
半ばやけ気味にドンドン進む。
少し広い道路に出た。
と、前方にやっと看板が見えた。
「助かったぁ」
と思って、看板まで近づいてその案内を見た私は驚いた。
そこには、三瓶山まであと12キロと記してあった。

そう、それは30分ほど前に見た看板と同じ看板だったのである。
振り出しにもどってしまったのだ。

その時の車内の雰囲気がどうだったかは、今はもう思い出せない。
しょうがない、やり直しだ。
と、気持ちを切り替えて再出発。
したものの、進んで行くうち、また何やら細い道に入り込んでしまう。
その細い道を暫く進んだことろで、「あれ?この道さっき通らなかった?」と恐る恐る同乗者に確認。
「はい、通りましたよぉ」と同乗者。
なんと、またまた、迷い道に入り込んでしまったのだ。

誰かに聞こうにも、店はない、家もない、他の車すら通らない。
引き返そうにも、狭い道で切り返すような場所もなし。
とにかく、前へ進むしか選択肢がない。
で、暗闇の中をズンズン進んで行くうちに、助手席に座っていた同乗者のひとりに異変が。
そう、一番人気の彼女である。
その彼女、ぐったりと頭を垂れているのが横目に入る。

「どした?」と聞くと。
「う~ん、気持ちが・・・」
暗闇の中のクネクネ道ドライブで、完璧な車酔いになってしまったのだ。
車を止め、ルームランプを点けて顔色を確認。
真っ青というか、真っ白な顔色で目もうつろな状態だったのである。

つづく。



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