[第三話] 敵地 甲子園球場に紙吹雪舞う
学生時代は神戸。
広島を離れて初めてわかる、広島への思い。
すなわちカープへの思いもさらに強くなってくる。
神戸は良い街だったが、そこは認める代わりに阪神ファンには絶対負けたくない気持は強くなる。
俄然、甲子園での応援にも熱が入ろうというもの。
当時は紙吹雪がOKだったので、先ずは前日から紙吹雪作り。
しっかり仕込んで阪神電車に乗りいざ甲子園へ。
席は内野3塁側。
3塁側とは言え、その頃はカープファンなどまばら。
阪神ファンに囲まれる形の完全アウエイ。
しかし、ここは3塁側なのでカープを応援して良い場所だ。
カープがチャンスを迎えれば立ち上がっての大騒ぎで持ってきた紙吹雪を舞い散らす。
そんな大騒ぎ&紙吹雪なのだが、阪神ファンが私たちを咎めるということはない。
今でもそうだが、飛ばす野次はいつもカープに対してであり、相手に向けることはあまりなかったということも若干あったかもしれない。
となると、ますます増長しカープのチャンスには騒ぎ立てる。
そして、私が放つ紙吹雪は容赦なしに阪神ファンのところへも舞い落ちる。
それでどうこう言われたことはなかった。
しかし、ある時その紙吹雪は私の前の席でカレーを食べてる阪神ファンのところへ、ひらひらと。
カレーの中へ向かって次々と舞い落ちていくのだった。
それは、まるでスローモーションの映像で見る桜吹雪の如く美しくもあったのだが、あぁ、そこに落ちちゃいかん。
と思う間もなく、紙の花びらがカレーのルーとライスの上に次々と着地していく。
即座に「こりゃ、おおごとになるわい」と覚悟を決めてしばし待つ。
が、こちらを振り返ることもなくその阪神ファンは静かに花びらをどけて食べ続けるのであった。
であるにしても「すいませんでした」と謝るのが筋というもの。
が、当時の私は若過ぎた。
「カープの打ちよる時に食べるのが悪いんじゃ」と心の中で嘯き、謝ることもしない、無礼極まりないカープファンであったのだ。
その後もそんな傍若無人な振る舞いを続けながら何度も甲子園に行ったのだが、球場でのトラブルは幸い一切なし。
それはいつも3塁側内野席だったからか?
そこはおとなしい阪神ファンが集まるところなのか?
とにかく、無事に観戦するこてができていたのだが、それは卒業間近の甲子園観戦からの帰り、阪神電車の車中で、一触即発な状況が待ち構えていたのである。

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すなわちカープへの思いもさらに強くなってくる。
神戸は良い街だったが、そこは認める代わりに阪神ファンには絶対負けたくない気持は強くなる。
俄然、甲子園での応援にも熱が入ろうというもの。
当時は紙吹雪がOKだったので、先ずは前日から紙吹雪作り。
しっかり仕込んで阪神電車に乗りいざ甲子園へ。
席は内野3塁側。
3塁側とは言え、その頃はカープファンなどまばら。
阪神ファンに囲まれる形の完全アウエイ。
しかし、ここは3塁側なのでカープを応援して良い場所だ。
カープがチャンスを迎えれば立ち上がっての大騒ぎで持ってきた紙吹雪を舞い散らす。
そんな大騒ぎ&紙吹雪なのだが、阪神ファンが私たちを咎めるということはない。
今でもそうだが、飛ばす野次はいつもカープに対してであり、相手に向けることはあまりなかったということも若干あったかもしれない。
となると、ますます増長しカープのチャンスには騒ぎ立てる。
そして、私が放つ紙吹雪は容赦なしに阪神ファンのところへも舞い落ちる。
それでどうこう言われたことはなかった。
しかし、ある時その紙吹雪は私の前の席でカレーを食べてる阪神ファンのところへ、ひらひらと。
カレーの中へ向かって次々と舞い落ちていくのだった。
それは、まるでスローモーションの映像で見る桜吹雪の如く美しくもあったのだが、あぁ、そこに落ちちゃいかん。
と思う間もなく、紙の花びらがカレーのルーとライスの上に次々と着地していく。
即座に「こりゃ、おおごとになるわい」と覚悟を決めてしばし待つ。
が、こちらを振り返ることもなくその阪神ファンは静かに花びらをどけて食べ続けるのであった。
であるにしても「すいませんでした」と謝るのが筋というもの。
が、当時の私は若過ぎた。
「カープの打ちよる時に食べるのが悪いんじゃ」と心の中で嘯き、謝ることもしない、無礼極まりないカープファンであったのだ。
その後もそんな傍若無人な振る舞いを続けながら何度も甲子園に行ったのだが、球場でのトラブルは幸い一切なし。
それはいつも3塁側内野席だったからか?
そこはおとなしい阪神ファンが集まるところなのか?
とにかく、無事に観戦するこてができていたのだが、それは卒業間近の甲子園観戦からの帰り、阪神電車の車中で、一触即発な状況が待ち構えていたのである。

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