[第五話] お帰りはあちらです
昨日ここにおった女を呼べ!
下りエスカレーター付近から怒鳴り声が聞こえる。
なんやなんや、と思いながら行けば、年の頃は60前後のおっさんが女性店員をつかまえて言っている。
つかまった女性店員は何も言えず圧倒されてる。
そりゃそうだ、まずもって、ここはエスカレーター前の通路であるので「ここにおった女」じゃ誰の事だがさっぱりわからない。
なので、「どうされました?」と私が引き取ることにした。
デパート生活も終盤の頃のお話。
もう、怒鳴られるのも慣れっこだ。
そしたら、真っ赤な顔をして私を睨みつけ「昨日おったじゃろうが、ここに女が」と言うので、「それは何時ごろの事ですか?」と聞くと
少し考え「昼くらいよ、おったじゃろうが」と。
さらに、「名前はわかりませんか?」と聞けば、「わからん」と言う。
あまりにわけのわからん物言いなので酒に酔ってる?
と思ってみていたが、そんなふうでもない。
「とにかく、失礼な女よ、おったじゃろうが、バカ女が」と続ける。
どうやら、昨日買い物に来て、おっさんにとっては感じの悪い接客をされたのだろう。
それなら、心当たりがないでもない。
気が強くて、つっけんどんに見える接客をする子がいるので、「あぁ、たぶんあの子やな」と思った。
私もお客の立場で接客を受け、あまりの態度の悪さに、「あなた、接客嫌いでしょ?接客業やめて他の仕事した方がええよ」の様なことを2回ほど言ったことがある。
なので、おっさんの言うこともわからないでもない。
ないが、おっさんの最後に言った「バカ女」に私は切れかけていたので、「手前どもにバカ女はおりませんが」と反撃。
すると、「おったわいバカ女が」と怒鳴り返してくる。
小学生の喧嘩なみの言い様に呆れ、また、これ以上相手してもどうにもならない相手と判断。
なにより、こんな大声でわめき続けられたら他のお客様に迷惑。
帰っていただくことに決め、「いいえ、手前どもにはバカ女はいませんので、どうぞお帰り下さい」と通告。
それでも食い下がってくるので、「お帰りはあちらです」と下りエスカレーター方向へ促す。
すると、真っ赤な顔をさらに赤くして「警察に言うてやるからな」
もう、これは小学生でも言わないような捨て台詞。
「どうぞ、お好きなように、さ、お帰りはあちらです」と再度エスカレーターへ促すと、踵を返しエスカレーターにやっと乗る。
そして、下りながら「絶対言うてやるからな!警察に!」と叫びながら帰って行ったのであった。

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なんやなんや、と思いながら行けば、年の頃は60前後のおっさんが女性店員をつかまえて言っている。
つかまった女性店員は何も言えず圧倒されてる。
そりゃそうだ、まずもって、ここはエスカレーター前の通路であるので「ここにおった女」じゃ誰の事だがさっぱりわからない。
なので、「どうされました?」と私が引き取ることにした。
デパート生活も終盤の頃のお話。
もう、怒鳴られるのも慣れっこだ。
そしたら、真っ赤な顔をして私を睨みつけ「昨日おったじゃろうが、ここに女が」と言うので、「それは何時ごろの事ですか?」と聞くと
少し考え「昼くらいよ、おったじゃろうが」と。
さらに、「名前はわかりませんか?」と聞けば、「わからん」と言う。
あまりにわけのわからん物言いなので酒に酔ってる?
と思ってみていたが、そんなふうでもない。
「とにかく、失礼な女よ、おったじゃろうが、バカ女が」と続ける。
どうやら、昨日買い物に来て、おっさんにとっては感じの悪い接客をされたのだろう。
それなら、心当たりがないでもない。
気が強くて、つっけんどんに見える接客をする子がいるので、「あぁ、たぶんあの子やな」と思った。
私もお客の立場で接客を受け、あまりの態度の悪さに、「あなた、接客嫌いでしょ?接客業やめて他の仕事した方がええよ」の様なことを2回ほど言ったことがある。
なので、おっさんの言うこともわからないでもない。
ないが、おっさんの最後に言った「バカ女」に私は切れかけていたので、「手前どもにバカ女はおりませんが」と反撃。
すると、「おったわいバカ女が」と怒鳴り返してくる。
小学生の喧嘩なみの言い様に呆れ、また、これ以上相手してもどうにもならない相手と判断。
なにより、こんな大声でわめき続けられたら他のお客様に迷惑。
帰っていただくことに決め、「いいえ、手前どもにはバカ女はいませんので、どうぞお帰り下さい」と通告。
それでも食い下がってくるので、「お帰りはあちらです」と下りエスカレーター方向へ促す。
すると、真っ赤な顔をさらに赤くして「警察に言うてやるからな」
もう、これは小学生でも言わないような捨て台詞。
「どうぞ、お好きなように、さ、お帰りはあちらです」と再度エスカレーターへ促すと、踵を返しエスカレーターにやっと乗る。
そして、下りながら「絶対言うてやるからな!警察に!」と叫びながら帰って行ったのであった。

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