[第一話] ジャイアンツ優勝セール開催権得る
私の勤務していたM社は、本社本店も東京なので昔からM社がジャイアンツが優勝した時「ジャイアンツ優勝セール」をやっていたと思われがちだが、実はそうではない。それは2000年からで、それまでは有楽町の読売会館に「S東京店」が入居していた縁で「ジャイアンツ優勝セール」はS社がやっていた。が、S社が経営破綻した時に読売からM社へその話が来て後釜に座ったというわけだ。とは言え、デパートは様々なお客さんをお迎えし...
[第二話] オレンジ法被の衝撃
優勝セールの開催契約を読売と行ったM社。その年は「ジャイアンツの優勝などあるもんか」と思っていたが、ペナントレースが進むにつれ雲行きが怪しくなる。そう、夏頃には早くも優勝の可能性が見えてきたのだ。となると、本社でも優勝セールに向けた準備も始まり、販売時に店員が羽織るジャビットのイラストがデカデカと描かれたオレンジ色の法被やセール看板の仕様などが次々と本社から発表される。特に、広島店の社員に与えるジ...
[第三話] 広島じゃムリじゃろ
ジャイアンツ優勝セールの辞退を名古屋店とともに本社へ要望しようと名古屋の決定を待つ間にも本社から通達はやってくる。本社でもセール用の商品を一括で手配をスタートするので「各店でもそれぞれ独自に手配をすすめるように」との通達である。開催タイトルはペンディングだが、ジャイアンツ優勝セールの名目で取引先にお願いしたほうがさらに良い品が揃う可能性が高いのでその「優勝セール用」の名目で各取引先に商品をお願いす...
[第四話] ジャビットの憂鬱
ジャイアンツ優勝セールを広島と名古屋で開催するか否か?長らくその回答は来なかったが、朝晩が涼しくなりジャイアンツ優勝まであと1カ月の猶予もないころ両店の要望を了とする通知が届いた。商売人としては売上拡大のチャンスを逃す決定かもしれないが、果たして広島で開催したところで売上に貢献したかどうか?むろん、野球に無関心で安く買えるならそのタイトルがどうだろうと関係なく買われる方もいらっしゃるだろうが、だか...
[第五話] そして、東京へ
ジャビットの憂鬱の日々の中、いよいよジャイアンツの優勝が決まる。冠を「カープ応援ありがとうセール」に代えた催事のスタードだ。となれば、やはり売上は欲しくなる。幸い、メディアではM社が「ジャイアンツ優勝セール」をやること。ただし、広島と名古屋は冠を代えてやること。なので、商品的には「優勝セール」と同じお買得品が両店でも出されることなどを流してくれる。期待大だ。そして、いよいよセール初日。「色々ありま...